NEWS 2020/3/6
今般の受賞は、コンピュータサイエンス領域で「Dual-context Modal Logic as Left Adjoint of Fitch-style Modal Logic」を主題とする論文に対するものです。
本論文では,直観主義様相論理IKの2種の導出システム(Fitch-style calculusおよびdual-context calculus)に注目し,圏論的モデルを介して見たときに,2レベルのdual-context calculus上の□様相が2レベルのFitch-style calculus上の□様相の左随伴となっていることを示している.また,dual-context calculusをmulti-context calculusに拡張し,multi-context calculusとFitch-style calculusとの間にも同様の関係があることを示している.Fitch-style calculusとdual(multi)-contextシステムの証明能力は等価である(すなわち,証明できる論理式の全体が一致する)ため,証明可能性という点だけから見ると,multi-context calculusとFitch-style calculusの□様相の振舞いに差はない.従って,これら2つの間に前述のような差が現れることは,驚くべき結果である.また,様相論理の専門家以外にも成果の新規性などがわかりやくまとめられていた点も高く評価できる.以上より,この研究を山下記念研究賞にふさわしいものとして推薦する.
情報処理学会 2019年度(令和元年度)山下記念研究賞詳細: